慰謝料請求について

◇不倫相手への慰謝料請求

①不倫相手と直接交渉できる場合 
相手方が話し合い(慰謝料の請求)に応

じる意思があり、交渉がスムーズに進む

ようであれば、直接話合い慰謝料につい

て示談を成立させることが理想であると

思われます。慰謝料の内容、支払い方法、

不倫関係の解消等を明記した示談書を作

成します。

 

②相手に直接交渉に応じる姿勢が見え

  ない場合

不倫の相手方に内容証明郵便による慰謝

料請求を行います。内容証明を送るメリ

ットとして、今後訴訟となった場合に、

請求したことを明確に証明できること、

また、慰謝料の請求についての「本気度」

の意思表示ともなり、相手に対する心理

的圧迫効果もあります。
   
※相手と直接やり取りをしたくない場合な

どは、この時点から弁護士等を代理人とし

て交渉に当たってもらうことも可能です。

ただし、それ相応の弁護士費用が必要とな

りますので、請求する慰謝料金額との兼ね

合いで検討されるのが良いでしょう。

    
③相手に示談に応じる姿勢が見えない場合

内容証明郵便を送っても反応がない、示談

に応じる姿勢が見られない場合には調停・

訴訟の手順を踏むことになります。ご自身

で行うことも可能ですが弁護士に依頼され

ることをお勧めします。
 ※当事務所で、離婚問題に詳しい弁護士の

 ご紹介も可能です。

 

◇慰謝料請求する際の注意点

慰謝料の請求をする場合にも、法律的な

ルールを守って行う必要があります。
つい感情的になりルールを守らない、度

を越した方法で相手に対して請求を行え
 ば、状況によっては刑法上の問題(名誉

棄損や脅迫罪)や民法上の問題(損害賠
 償)を逆に問われてしまう可能性があり

ます。

 相手の自宅や勤務先に押しかける、しつ

こく電話をする、脅迫めいた言動をとる、

暴力をふるう、違法な方法で証拠を収集

する等の行為は絶対に行ってはいけませ
 ん。

 

 

◇慰謝料請求の金額の決め方

不倫行為をした場合の慰謝料の金額につ

いては、一般的には100~300万円程度
の場合が多いようです。相手方の資力を

全く考慮しないで高額な慰謝料を請求し
 ても問題解決を難しくするだけですので

、示談成立を考えているのであれば注意
が必要です。よく、最初の慰謝料提示の

際に、「相手を懲らしめる・不倫行為を
後悔させてやる」といった感情から非常

に高額な請求をされる方がいますが、ほ
 どほどにしておかないと、相手方に交渉

の余地がないと判断されてしまい、問題
 解決が難しく・長期化する恐れがありま

す。
また、訴訟によって慰謝料が決定される

場合には、被害者の社会的地位や職業、
 離婚に至る原因となったかどうか、婚姻

期間、年齢、不倫関係の期間・原因、不倫

の状態、子どもの有無など様々な事情を考

慮して算定されることになります。

 

 

◇慰謝料請求された時は

内容証明郵便等で慰謝料の請求があった場

合には、何らかの回答をする必要がありま

す。放置した場合、一方的に訴えられるな

どの不利益を被る可能性があります。
 不貞行為をした事実がある場合でも、場合

によっては事情説明や条件交渉などによっ

て、比較的穏便な解決を図ることができる

場合もありますので、まずは冷静に相手の

請求を検討し対応します。

 

 最初に、相手の慰謝料請求が正当な物であ

るかを確認します。
・不倫相手が悪質な方法で既婚の事実を隠し

 ていなかったか
 ・不倫行為を行った時点で、婚姻関係は破綻

 していなかったのか
 ・不倫関係が相手に強要されたものではなか

 ったか(脅迫的なものでなかったか) 

これらを確認して、該当することがあればそ

の点を証明した上で反論を行います。

 上記のような事実がない、もしくは証明でき

ない場合には慰謝料請求の内容、請求金額の

妥当性について検討します。その上でまずは

示談交渉を行います。

 交渉において注意すべきは、中途半端な言い

訳は通用しないと言うことです。下手な言い

訳や責任転嫁は、相手(慰謝料の請求者)の

感情を逆なでし、交渉を難しくさせるだけで

す。不倫行為の非を認め、謝罪の気持ちがあ

るのであれば きちんと謝罪し誠意を見せた上

で、実現可能な金額を提示していくことが必

要です。

 

 示談交渉がまとまらなければ、調停・訴訟

ということになります。
 最初の慰謝料請求の時点で、相手側に弁護

士が代理人として就いている場合には交渉

決裂=調停→訴訟という流れになる可能性

が高いでしょう。
その場合、訴訟を少しでも有利に進めるた

めにはこちら側も弁護士に依頼する必要が

あります。ここで考えて欲しいのは、高額

な弁護士費用をかけて得られる利益がどれ

ほどの物かと言うことです(これは訴える

側にも当てはまります)。

 示談交渉においての、慰謝料の金額のギャ

ップが数十万円であった場合なら、弁護士

費用と相殺してしまいます。長期間に渡り、

精神的なストレスにさらされる事を考えれ

ば、ある程度の譲歩をして示談に応じた方

が得の場合もあります。

 

 

 

行政書士 村上佳雅